たとえば君が知らないあんなこと =3=
「はぁ、あ……」
あたしは嘆息する。
ホントは、うしろからされるのってちょっと苦手。
彼の表情が見えないから。
次に何をされるのか予想がつかないから。
「柚月」
あたしの名前を呼ぶ彼の声。
彼の指は、いまだにあたしの内部を探っている。
「ひゃ?」
思いがけない場所に、熱い息遣いを感じてあたしは驚く。
押し当てられる、指よりも柔らかくて湿ったもの。
「やっ、やだっ、そんなのやだ!」
「どうして?」
「ど、どうしてって、……汚いよ!」
うしろを振り向く余裕なんてなくて、あたしはただそうされることから逃げようとする。
だけど、がっちりとつかまれた腰はくねくねと動かすことしかできなくて、これじゃ逆に誘ってるみたいだ。
「汚くないよ、柚月の身体で汚いところなんてひとつもない」
彼はそう言って、舌先を硬くして窄まったソコを軽くノックする。
あたしは鋭く息を引く。
同時に、彼の指を咥え込んだ箇所まできゅっと締めてしまう。
くすくすと彼が笑う。
「こんなところまで、柚月は可愛い」
「ばか、も、そんなとこ舐めな――」
言葉の代わりにあたしの口から洩れたのは、吐息めいた喘ぎ。
こんなの嫌だって思うのに、ソコから湧き起こるむず痒いような感覚に肌が粟立つ。
「柚月を愛しているんだよ……頭のてっぺんからつま先まで、残らずすべて」
「で、…でも、だからってこんな……ひっ、ぁあ!」
あたしは小さく悲鳴を上げる。
内部を探っていた指が引き抜かれ、代わりにもっと太いものが押し込まれたから。
「あっ、やっ、や……、」
襞々を擦り上げるようにして侵入してくる、彼の熱くて硬いもの。
腰から背中にかけてぞくりと震えが走る。
挿入の始まりはいつも鳥肌が立つ。
「熱いよ、柚月……僕のが溶けてしまいそう」
最奥まで行き着いて、彼がほうっと溜息を吐く。
少し掠れたような声が、男の人なのに色っぽい。
彼の棹で押し出された蜜が、太腿を伝う。
彼はそれを指先で掬い取って、うしろの窄みに塗りつける。
「だから、ソコはやだってばぁ……」
そんなあたしの半ば懇願を聞いても、もちろん彼が止めてくれるわけもなく。
「嘘だ」
笑った声で言いながら、彼はゆっくりとソコを解すように揉む。
「こっちは、こんなにきゅんきゅん締め付けているのに?」
「締めてなんかいないも、…んっ」
実際、自分でも本当に嫌なのかそうじゃないのかわからない。
ただ、当人のあたしですらまじまじとは見たことがないような、身体の1番恥ずかしい部分を弄ばれているのは確かで、そうしているのが自分の大好きな人だという事実が、羞恥心に拍車をかけた。
ほら、だいぶ弛んできたよ、なんて彼は言う。
この人ときたら本当に、あたしを恥ずかしがらせることについては一流だ。
「え? …やっ、今度は何?」
お尻の間にぬるりとした感触があって、あたしはまた戸惑う。
彼は、それをゆっくりと塗り込めるようにしながら、ただのローションだよと笑った。
「んもぉ、そんなところにそんなもの塗ってどうするのよう」
「そりゃ、決まってるさ、こうやって……」
彼は、弛んできたと言った箇所にぐりっと指を押し付けた。
「え、嘘っ、やだやだっ……はぁあん!」
たっぷりと塗られたローションのせいか、それとも時間をかけて解されたせいか、あたしのソコは少しばかりの抵抗を示したあと、彼の指をぬぷりと飲み込んでしまう。
「ふふ、……思った通り、こっちもすごく貪欲」
「あ、あ、」
その部分に猛烈な違和感を感じる。
経験したこともないような、なんとも形容し難い変な感じ。
「んっ、ふ…ぅんっ」
「ほら、力んじゃだめ、口で息して」
あたしは、はあはあと舌を出して喘ぐ。
犬みたいに。
つづく


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2017年03月14日 微エロ妄想さんに25のお題 トラックバック:0 コメント:0